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天香具山

■ 天香具山

大和三山の一つ、天香具山。
大和国風土記(逸文)にも、記載がある。天上世界の山が、二つに分かれて地上に落ちたもので、もう一つの山は伊予国の天山(あめやま)だと云う。神聖な山であったのだろう。

〝香山
風土記。天の上に山あり、分かれて地に堕つ。一片は伊予国の天山。一片は大和国の香山。
                          (忌部正通『神代紀口訣』巻三)

万葉集には9首詠まれているが、天皇の歌にもあり、当時は国の統治ということにも重要な意味をもった山だったのではないかと類推できる。

舒明天皇の歌
「大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば 国原は 煙り立ち立つ 海原は かまめ立ち立つ うまし国ぞ あきづ島 大和の国は」(巻1-2)

持統天皇の歌
「春過ぎて 夏来たるらし 白たへの 衣干したり 天香具山」(巻1-28)

万葉集の歌に隠された意味合いを解釈する力が、自分には無い。現代人の一般庶民感覚とは違うものだと思う。また、陰陽五行の影響もあるのだろう。


天香具山(天香久山)  奈良県橿原市南浦町

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さて、その山の名前だが、『先代旧事本紀』『
海部氏勘注系図』に見られる、天火明命の御子・天香山命(天香語山命とも云う)から付いているものと思ったが、そのような解説がウィキぺディアには無い。

天香山命は、奈良の葛木坐火雷神社新潟の彌彦神社の祭神であり、尾張氏などの祖である。→ ウィキペディア 天香山命

『新撰姓氏録』(815年)に天香山命を始祖とする氏族を下記に挙げる。

左京    神別 天孫 尾張連  連  尾張宿祢同祖火明命之男天賀吾山命之後也
山城国   神別 天孫 尾張連    火明命子天香山命之後也
大和国   神別 天孫 尾張連     天火明命子天香山命之後也
河内国   神別 天孫 吹田連     火明命児天香山命之後也
和泉国   神別 天孫 丹比連    同神男天香山命之後也
和泉国   神別 天孫 石作連    同上  
和泉国   神別 天孫 津守連    同上  
和泉国   神別 天孫 網津守連   同上  
和泉国   神別 天孫 椋連     同上
和泉国   神別 天孫 綺連     津守連同祖天香山命之後也

■ 火神カグツチ  吉野裕子説

吉野裕子著『山の神 易・五行と日本の原始蛇信仰』(人文書院 発行)を読んでいて、自分は、イザナミ=高照姫命、カグツチ天香山命のモデル説なのだが、ここの部分は腑に落ちた。

〝『古事記』の万物生成神話のなかで、山の神の誕生に関するものは二つ、即ち、風・木・山・野の順に生まれた四柱の神のなかの「大山津見神」のそれと、火神カグツチの所生という「八柱の山の神々」の記述である。…中略
「次に生める神の名は、…火之夜芸速男神、亦の名は火之炫毘古神と謂ひ、亦の名は火之迦具土神と謂ふ。此の子を生みしに因りて、美蕃登炙かえて病み臥せり。…故、伊邪那美神は、火の神を生みしに因りて、遂に神避りましき。」(『古事記』上巻 )

ここで見る限り、火神カグツチの元の名はカカヒコであって、カグツチの「カグ」は「カカ」または「カガ」の転訛に過ぎない(三四頁第3表参照。後のカグ山は本来カガ山であった)。
 前述のように「カカ」は蛇の古名であるばかりでなく現在でも「山カガシ」「カガチ」の形で残っている蛇の名称であるが、発音しにくいため、後続の音によって、「カガ」となり、「カク」「カグ」「カゴ」となり、更に「コウ」ともなる。…中略
 要するに火神カグツチを蛇神に還元すれば、蛇の子は蛇なので、当然その所生の八柱の山の神々は蛇ということになる。
山を蛇に見立てる弥生・古墳時代の信仰は現代にも引き継がれている程なので、神話筆録時代には、今より格段に強く意識されていたはずであって、山と蛇の関係が暗黙のうちに、このような神話の形で書き記されたことにふしぎはないのである。〟(吉野裕子著『山の神 易・五行と日本の原始蛇信仰』)※太字強調は、私。

また、蛇の古名は、「ハハ」でもあった。『古語拾遺』(807年)に、「古語に大蛇は羽羽という」と書かれている。蛇は、「カカ」や「ハハ」であった。
吉野裕子氏のこの本では、「箒神」(ほうき神)の分析も書かれている。今は、掃除道具でしかないが、古代は呪術の道具であった。「箒」の読みは「ハハキ」で、それが「ホウキ」と発音されるようになった。(鳥取県の伯耆の起源も、波波伎〝ははき〟である。)
「箒神」(ははき神)は、一般的に出産の神とされるが、葬送の先導役でもあったり、祓いの(掃き出す)神でもあったり、人間の一生に関わる神である。

それと、この本では、ヤマトタケルの出会った伊吹山の神が、『古事記』では白猪、『日本書紀』では大蛇となった理由について陰陽五行からの分析をしている。陰陽五行は、自分がまだまだわからないところも多く、記紀がその観点から書かれていることは認めるが、民衆の祭りまでその原理が及んでいるというところが、腑に落ちない。

■ 天波波迦

天香具山にある天香具山神社の祭神も、天香山命だとてっきり思っていたが、櫛真智命神(くしまちのみことのかみ)で、太占(ふとまに)の卜事(いわゆる占いのこと)を司る神様だということだ。

天香具山神社   奈良県橿原市南浦町608

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この太占とは何か。コトバンクで調べると、

〝古代の卜占の一種。「太兆」「布斗麻邇」とも書き,「鹿占」ともいう。「ふと」は美称。雄鹿の肩甲骨を波波鹿 (ははか) の木 (うわみずざくら) の皮を炭火にしたもので焼き,その町形 (まちがた) に表われる割れ目の模様によって,吉凶を判断する。アメノコヤネノミコトが司ったと伝えられる。ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)※太字強調は私。

日本では,鹿の骨を用いた太占(ふとまに)中国から導入された亀甲を焼いてする亀卜,陰陽五行説による易占などが,国家的レベルで行われた占いであった。律令制のもとでは亀卜は神祇官の卜部氏が管掌し,易占や星占いなどは陰陽寮の陰陽師・宿曜師が管掌し,官卜寮占と併称された。〟(株式会社平凡社世界大百科事典 第2版)※太字強調は私

日本古代の占いで、鹿の肩甲骨を「ははか」の木の皮で焼いて、その割れ目の模様で占いのことのようだ。

古代中国ではどうだったか。
〝殷の卜占 (Oracle bone) では、亀の甲羅や獣の肩甲骨(甲骨)に小さな穴を穿ち、熱した金属棒(青銅製であったといわれている)を穴に差し込む。しばらくすると表側に卜形のひび割れが生じる。〟(ウィキぺディア 甲骨文字)と、ある。

波波迦の木  天香具山神社境内

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『古事記』(712年)天岩屋戸神話に、「天香山の真男鹿(まおしか)の肩を内抜きに抜きて,天香山の天波波迦(あめのははか)を取りて,占合(うらない)まかなはしめて」とある。この波波迦の木であるが、現在はウワミズザクラの古名とされているが、 ウィキぺディア ウワミズザクラ  では、「古代の亀卜(亀甲占い)で溝を彫った板(波波迦)に使われた事に由来する。」で、皮ではなく、卜占に使う板に使われていると書かれてある。いわゆる火燧木で、火を起こすものようにもとれる。

それで、「上溝桜」というようだ。なぜに、その木が、「ハハキ」なんだろうか。花のところが、筒のところが蛇のように見えるから、「ハハカ」なんだろうか、皮が蛇の脱皮のように見えるんだろうか、それとも、「箒」(ハハキ)と同じように呪術に使うから、「ハハカ」なんだろうか。

青谷上寺地遺跡の出土品 卜骨    鳥取市青谷上寺地遺跡展示館  鳥取県鳥取市青谷町青谷4064
250点以上出土していて、日本で最多だ。これは、イノシシの骨である。

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太占(ふとまに)では、鹿の肩甲骨しか書かれてなかったが、弥生時代青谷上寺地遺跡(奈良時代は因幡国)の出土品は、だった。
太占が確立するまでは、殷で行われていたような卜占だったのだろうか?




Commented by たぬき at 2019-09-18 09:58
天香久山。は、古代、古大和(奈良)湖に浮かぶ小島で、
秦国人、ホアカリ/徐福(道教のマスター)の御子、五十猛(母親は出雲王家の高照姫)が父親の徐福やその配下のホヒらが起こしたクーデター(出雲王国の簒奪を謀って主王、副王共に拉致誘拐して殺害(お二人共に洞窟に幽閉させられての餓死))が失敗して散りじりになっていた秦国人(徐福が引率してきた2000人の海童ら)を
集めて丹波(丹後)に移り住み、カゴヤマと改名して勢力を拡大して、
徐福が九州の佐賀に再度渡来してニギハヤヒと自称して
出雲王国の分家で九州に重きを成す宗像家のサヨリ姫/市杵島姫と結婚。
御子のホホデミは後の物部王家の祖。姫御子のホヤ姫は
異母兄の丹波(丹後)の海(天)カゴヤマに嫁ぎ、ムラクモを生みます。

ムラクモは丹波人(元は秦国人の子孫(秦族)ら、を武装させ大和の葛城に南下(奈良(大和)盆地には古奈良(大和)湖が湖水を満々と湛えていた。))

先の出雲王国でのクーデターの影響から出雲族が大和の葛城に移住して開発中の矢先、
丹波勢力が南下してきて威勢を張って出雲族らを圧倒するにいたり、
和議、政略結婚等が為されて丹波、葛城(出雲)連合王朝(政権)が成立。
ムラクモがいわゆる大王に就任。
古奈良湖に浮かぶ小島、、、中国人の蓬莱山信仰にも合致してそこに父親のカゴヤマを祀りました。
大和では香久山と表記されますが、元来はカゴヤマであったと。

Commented by リリーク at 2021-11-25 15:14
かわいそうな火神
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by yuugurekaka | 2019-09-07 21:02 | Trackback | Comments(2)