出雲国造の系譜の謎  (3)  『北島国造家文書』と向家伝承

『止屋の淵』のことを図書館でいろいろ調べていましたら、斎木雲州著『出雲と蘇我王国』という本を見つけました。
読んでいくと、これは⁉ 司馬遼太郎氏がいつぞや書いていた出雲神族の末裔の富當雄氏(詳しくは前述の記事→生きている出雲王朝 司馬遼太郎さん)の息子さん(司馬遼太郎氏の本では名前は不明だが)が書いておられる本ではないですか。
読んでいくうちに、古事記や日本書紀に書かれている事柄と全然違うではないですか?
出雲は、西出雲の王と東出雲の王が交代で、主王(オオナムチという役職名)と副王(スクナヒコという役職名)を決めており
八代目のオオナムチが、「大国主命」で、スクナヒコが「事代主命」(正しくは八重波津身)であったそうです。
そうかあー。妙に納得してしまいました。
人によっては、「トンデモ」本ですが、整合性があり、たいへん面白く読みまして、斎木雲州氏の他の著作の
「出雲と大和のあけぼのー丹後風土記の世界」「古事記の編集室ー安万侶と人磨たち」も続けて読みました。

「止屋の淵」に出てくる登場人物のことも書かれており、出雲振根は神門臣の人物、飯入根は弟ではなく向家の
人物、甘美韓日狹(うましからひさ)と子の鸕濡渟(うかづくぬ)は天穂日命の子孫だそうです。
出雲王国滅亡後、鸕濡渟が初代出雲国造となり、出雲の国を治めていくことになります。

そして、出雲振根は崇神天皇の時代の話ではなく、垂仁天皇の時代、物部十千根(とおちね)を将軍とする物部軍に討死にしてしまいその時、西出雲も東出雲も滅ぼされてしまったといいます。

さて、下記の系図は、『北島国造家文書』の出雲国造世系譜にある系譜に北島家のホームページの情報等を参考に書き加えたものです。
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出雲国造家系譜

始  祖 天穂日命
第 2世 武夷鳥命(たけひなどり)
第 3世 伊佐我命
第 4世 津狭命
第 5世 櫛瓺前命(くしみかさき)
第 6世 櫛月命
第 7世 櫛瓺鳥海命(くしみかとりみ)
第 8世 櫛田命
第 9世 知理命
第10世 世毛呂須命
第11世 阿多命  別名 出雲振根
第12世 氏祖命(おほし)—初代出雲国造  別名 鵜濡渟(宇迦都久怒)
第13世 襲髄命(そつね)—野見宿禰・・・相撲の元祖 
第14世 來日田維命(きひたすみ) 別名 岐比佐都美
第15世 三島足奴命(みしまそまぬ)
第16世 意宇足奴命(おうそまぬ) 
別命:游宇宿禰
第17世 国造出雲臣宮向  出雲姓を賜わる
第18世 国造出雲臣布奈
第19世 国造出雲臣布禰
第20世 国造出雲臣意波久
第21世 国造出雲臣美許
第22世 国造出雲臣叡屋
第23世 国造出雲臣帯許
第24世 国造出雲臣千国
第25世 国造出雲臣兼連
第26世 国造出雲臣果安  松江市大庭町より杵築の地(出雲大社のある地域)に移る
第27世 国造出雲臣広島  出雲風土記 編纂責任者  
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しかし、斎木雲州著『出雲と蘇我王国』によれば、出雲振根は、西出雲の王家ー神門臣家であり、
さらには野見宿禰と淤宇宿禰は、東出雲の王家ー向家(富家)の先祖だそうです。
つまりは、この系譜は少なくとも3家(神門臣家・向家・天穂日命家)習合した系譜であるということです。

山代神社 
祭神の山代彦命が向家の先祖の豪族で、山代二子塚古墳は、山代彦命の古墳であるという。

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向家(富家)自体、天穂日命を祖とする出雲国造と同じように、奈良時代までは、「出雲臣」を名乗っていたようです。
また、神門臣家は、『新撰姓氏録』(815年)→ウィキペディア 新撰姓氏録によれば
 「出雲臣、天穂日命十二世孫 ウカズクヌミコトの後なり、神門臣、同上」となり、出雲臣の分家のようになっています。

 大国主命の子孫である神門臣家も、事代主命の子孫である向家も、出雲国造と同系として習合するするしか生きる道はなかったのかなあと想像しました。

 しかし、古墳時代末期に、大きな古墳があるところを考えると、出雲王朝はつぶされても、いまだ地方豪族として力は厳然として残っていたのではないでしょうか。


 向山1号墳のある向山 北側に山代神社があり、南側に向山古墳群があります。
 

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 古墳は、見れませんが、山代二子塚古墳の前の「ガイダンス山代の郷」で向山1号墳のレプリカをみることができます。

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  天穂日命を祖とする出雲国造が東出雲を全権掌握していて、それが西出雲にも及ぶようになるという通説を自分も信じこんでいたので、斎木雲州氏の本は、衝撃でした。




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by yuugurekaka | 2015-12-07 08:00 | 出雲国造 | Trackback