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鰐の恋山 ― 鬼の舌震    仁多郡奥出雲町 

奥出雲町の景勝地として名高い「鬼の舌震」(おにのしたぶるい)に行ってきました。
「鬼の舌振」は、島根県奥出雲町にある峡谷。斐伊川支流の大馬木川上流に位置するV字谷で、1927年(昭和2年
)4月8日に国の名勝及び天然記念物に指定された。正式指定名称は鬼舌振(おにのしたぶる)。

地名は『出雲風土記』の一文にある「和仁のしたぶる」が転訛したものと”(ウィキぺディア 「鬼の舌震」より)

言われています。


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写真では今一つですが、巨岩が川底に幾重にも連なり、節理(マグマが急速に冷却してできた割れ目)や長い年月の流水に
よって削り取られた不思議な石の造形に神秘的なものを覚えました。
およそ2.4キロの範囲で、不思議な形の巨石がさまざまな造形を楽しませてくれます。
詳しくは→奥出雲観光文化協会公式サイト 奥出雲ごこち

2013年に完成した高さ45m、長さ160mの“舌震❛恋❜”吊り橋



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自分にとってここが一番難所でありました。実際は車いすでも歩行可能なバリアフリー遊歩道の入り口にあり、
安全ですが、私は高いところが大の苦手なので、恐怖を感じました。


橋に迫りくる巨石群


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さて、「鬼の舌震」の名の起こりですが、出雲風土記(733年)には、こう記してあります。
 

“恋山(したいやま)。郡家の正南二十三里のところにある。古老が伝えて言う
には、和爾(わに)が阿井村にいらっしゃる神、玉日女命(たまひめのみこと)
を恋慕って、川を上ってやってきた。そのとき、玉日女が石で川をふさいでしま
われたので、会うことができないまま慕っていた。だから、恋山(したいやま)
という。”
        解説 出雲風土記 島根県古代文化センター[編 ]今井出版  

ここに登場する鰐ですが、『解説 出雲風土記 島根県古代文化センター[編 ]』には

“意宇郡安来郷条にも登場するシュモクザメで、現在でも中国地方山間部におい
て、ワニザメとして食されている。このような神話が成立する際の歴史的背景
として、シュモクザメが古代においても貴重な食物として出雲山間部で消費さ
れていた可能性を想定できよう。”

と解説されており、現在 ワニは、鮫であるということが半ば通説となっています。

玉日女社

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しかしながら、実は、戦前から和邇は、鰐か鮫かという論争が絶えず、出雲風土記にも鮫と鰐が別々に記載されている
ことなどから、和邇は鰐(ワニ)で鮫ではないという説も、いまだ有力です。
かの、本居宣長は、『古事記伝』で、平安時代中期の辞書『和名類聚抄(和名抄)』(わみょうるいじゅしょう)を引用して
ワニ説をとっていたそうです。詳しくは “ウィキペディア因幡の白兎”の後半に。

姫様にワニが通うという話が、日本書紀にもあります。               
事代主神が八尋鰐と化して、玉櫛媛(たまくしひめ)のもとに通い、結ばれて
生まれた媛蹈鞴五十鈴媛命(ヒメタタライスズヒメ)が神武天皇の皇后になっ
たという話です。
ウィキペディア 玉櫛媛        
日本書紀では、出雲の神様は、蛇や和邇に化身して上手に妻問うのに、出雲風土記の和邇の神様はなんと哀しい存在なのでしょうか。


子天狗岩

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鬼の落涙岩

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by yuugurekaka | 2015-12-10 08:00 | Trackback | Comments(0)